『午後』 CAST:Hizikata,Kagura.
「聴―てヨ――多串クン」
「るっせェな多串じゃねぇっつってんだろ纏わりつくな馬鹿チャイナ」
「銀ちゃんと新八、また私置いてどっか行ったアル」
「聞いてねえなてめェ。……仕事じゃねぇのか?ガキ連れてくよーな場所じゃねぇとか、なんか理由があんだろ」
「…でも寂しいアル」
「なら総悟か山崎のとこへでも行け。遊んでもらえ。俺は忙しいし、笑顔でガキの相手出来るほど器用じゃない」
「…嫌ヨ」
「なんでだよ」
「嫌なもんは嫌アル!多串クンのバーカ!!」
「オイ待てなんだ今の厭味な言い草!」
「さーびーしーいー。構って構って構って構って」
「だぁぁぁもうっ、うっせぇなあ!!」
ばん・と机を思いっきり叩いて怒鳴ったが、土方の首根にしっかり抱きついた神楽にはまるで効果無しである。それどころか腕にますます力を入れて、若干膨らませた頬をくりくりと彼のうなじに押し付ける。土方も思わずがたんと大きく身じろぎした。
「ややややめろつってんだバカかてめェはほんとにっ」
「日が暮れるまであと五時間三十四分」
「…は?」
「そんだけ、一緒に、居てくれる?」
ずい、と顔を土方の真横まで突き出し、割に真剣な瞳で真っ直ぐ彼を見つめる。黙って唇を噛み、目の前の小さな顔を見返す。
日が暮れればきっと彼らは帰って来るんだ、自分だってそれくらい解ってるんだ。
だけど寂しいから、どうしても一人は寂しいから、そしてその時今この時は、どうか、君に居て欲しいんだよ。
今隣にあって欲しいのは貴方の黒髪と少し染まった頬と温かい背中。
暫くそのまま睨み合って、それから土方ははあと息を吐いた。降参・のため息だった。
「…ただし、仕事の邪魔すんじゃねェぞ。この部屋に居ることぐらいは許してやっから」
「解ったアル!」
ぱあっと顔を輝かせて大声で答えた後、ぎゅうっと思いっきり抱きつく。弾みで土方の持っていた書類がどこかに引っ掛かってびりりと破れた。
「ばっ、ちょっ……邪魔すんなっつったろぉがァァァ!!」
「お手伝いしたげるヨ」
「要らねェよ!お前このまま俺の膝に居座る気だろ、どけ!今すぐどけェェ!!」
「万事屋神楽が一肌脱ぐネ」
「腕まくりなんかして気合入れんでもっ…ってオイ!何してんのお前ちょっと書類全部プレスしてんじゃねーか!!」
「紙の束整えようと思って机に叩きつけたら、やりすぎたヨ」
「落ち着いて言うなァァ!書き直しじゃねェかあーもーっ…」
副長の執務室。小さな書類机の前、粗末な座布団の上、仏頂面で胡坐をかいて書類を書き直す土方の膝の上。
桃色髪はこくりと頭を垂れて、微かな寝息を立てていた。
彼は時々酷く不機嫌そうにため息をついて時々「邪魔だ…」と呟いて、だけど時々ふんと少し微笑う。
それからそれよりもっと時々・たまに、そうっと神楽の頭を撫ぜる大きな手が、他に無いくらい温かくて優しいことは、ごく一部の人しか知らないことだ。
------------End.
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これでも日記で募集してみて提供頂いたリク「土方大好きな神楽となんだかんだで神楽に甘い土方」に沿っていると言い張りますが、何か。(ありすぎて何も言えねぇ)
とりあえず「土方大好きな神楽」ということでいつになく甘えんぼ神楽嬢。「なんだかんだで甘い」というのはまがりなりにも土神主張してる奴としては激しく首を縦に振り同意する表現ですが結局神楽が部屋で暇つぶすことを許す土方で表現(出来てない) 個人的に一番重要なのは土方の膝にちょこんと座って居眠り神楽です(重要?) 神楽は小さいもの…!それこそすっぽり胡坐かいた足の間に座れるはずだもの!(なんの主張ですか)
いつか絵で表してみたいものです。それでは、リクありがとうございました!!…またよろしくお願いします……(おーい)